最高の観光地としてのマラケシュの名声は、主に、国名の由来ともなったかつての都としての長い歴史に基づいています。モロッコ最初の帝都であり、世界遺産でもあるマラケシュは今日、歴史だけにとどまらない魅力を求める世界中の旅行者を惹きつけていますが、博物館やギャラリー、そしてイスラム芸術の見事な傑作も多い歴史的建造物や史跡に代表される街の文化遺産は、今なお最大の魅力のひとつです。この街が人気を集めるもうひとつの理由は、その立地です。常に視界に入る雪を頂くオート・アトラス山脈のふもとにあり、大西洋のビーチまで数時間、サハラ砂漠の北端までは車で1日足らずです。
マラケシュのメディナの大部分は、今も12世紀に築かれた高さ9m、全長約20kmの城壁に囲まれており、数百メートルごとに四角い防御塔(ボルジュ)が配されています。もともと10あった壮麗な門のうち残っているものはわずかですが、その中でも、カスバの入口にあるアグノウ門はとりわけ見事です。城壁に囲まれた古いメディナの西には、フランスが保護領時代(1912~1956年)に開発した近代的な地区ゲリーズがあり、すぐ近くの優雅な住宅街イヴェルナージュも同じ時期に造られました。建物の色から「赤い街」として知られるマラケシュのメディナは、ムワッヒド朝の時代にさかのぼります。ムワッヒド朝は、11世紀から12世紀にかけてアフリカ北西部とイスラム支配下のスペインに帝国を築いた、先住のイスラム教徒ベルベル部族の連合で、1062年にマラケシュを都として創建しました。
今日の旅行者をマラケシュに惹きつけるものとは?
古いメディナの中心には、街で最も名高いランドマークのひとつ、ジャマ・エル・フナ広場があります。日中は市場として機能する巨大な中央広場で、毎晩、あらゆる屋台料理の売り手とさまざまな芸人たちの舞台へと姿を変えます。マラケシュならではのこの中心地に隣接して、広大で迷路のようなマラケシュのメイン・スークが広がり、そこからすぐの場所には、77mのミナレットを持つ象徴的な建造物、12世紀のクトゥビア・モスクが建っています。
温暖な冬の気候、エキゾチックな花々、オレンジやオリーブの木立、そしてスパイスと地元のハーブが大きな役割を果たす豊かな食の遺産で知られるマラケシュは、長年にわたり著名人を惹きつけてきました。政治家(第二次世界大戦中と戦後のウィンストン・チャーチルもそのひとり)、数えきれないほどのハリウッドスター、各国の王族などです。その多くはきっと、この街の名物である、豊富な選択肢を誇るラグジュアリーなブティックホテルやシックなリヤドに魅了されたのでしょう。
マラケシュは公園や庭園でも知られています。特に有名なのは、メナラのオリーブ園、城壁に囲まれた405ヘクタールのアグダル庭園、そしてより新しい、マジョレル庭園(フランス人画家が造り、1960年代にイヴ・サンローランが取得)や、メディナの中心に見事に再現された中世の「秘密の庭」です。ムラービト朝時代に築かれ、アトラス山脈から水を引く灌漑システムは、今もこの庭園をはじめ市内の庭園の水やりに使われています。